Updated: October 1, 2024
映画『リロ&スティッチ』などのポップカルチャーを通じて、オハナという言葉を聞いたことがある人もいるかもしれません。この子供向けアニメーション映画のなかで、登場人物たちは繰り返し、「オハナは家族 家族はいつも傍にいる たとえ何があっても」と述べています。
このメッセージ自体も非常に素敵な言葉ですが、オハナはネイティブハワイアンの文化(ニュージーランドのマオリ、サモア人、トンガ人を含む太平洋上のその他のポリネシアのグループと密接な関係を持つ先住民族の島文化)にとって、大変深い意味を持っています。
ハワイを訪れる際は、1959年に米国で50番目の州となった島々の先住民文化について、できるだけ学んでおくと何かと役に立つかもしれません。なぜなら、このネイティブのポリネシア文化は過去の遺物ではなく、現代のハワイでも繁栄し続けているからです。
オハナの概念
オハナの概念は、血縁を超えて愛情のある関係を築くことです。オハナの精神は、相手に対し家族のような気づかいや献身の気持ちを持つことを意味します。
一般的に、ハワイアン(もしくはハワイ在住者)でない人は、主に映画やテレビ番組からオハナのことを知ることが多いようです。オハナは、家族がお互いに支え合うという概念と密接に関連しています。伝統的に、ネイティブハワイアンは大家族を持ち、複数の世代が近くで暮らしています。
オハナの意味の一つに、「家族の誰も取り残されないようにする」というものがあります。オハナを育てるには、喜びをもって生きていくために必要なものを、家族全員が分け与えられなくてはなりません。この家族的感覚には、子供だけでなく、多くの尊敬を受ける年長者も含まれています。
タロイモとハワイ語のオハナ
オハナの語源は、島の生活に欠かせない植物であるタロイモから来ています。「オハ」とはタロイモの芽の部分を指す言葉で、ハワイアンは次のシーズン用に切り取った芽の部分を植え替えて、タロイモを増やしていきます。
「アナ」は、繁殖や再生に関連した言葉です。ハワイアンの家族はオハナに焦点を当てながら、未来の世代の子供たちのための計画を立てます。
タロイモと家族の祖先
タロイモは、ハワイアンの世界観を理解する上で重要な役割を果たします。ハワイアンの社会では、タロイモは大きな敬意を抱かれていて、多くの家庭で主要食物として食べられています。
ネイティブハワイアンは、タロイモの植物を宇宙観的に先祖代々の親族と見なしています。歴史的なハワイの創世記によると、最初の人間はワケア神と彼の娘との間に生まれたということです。しかし、彼らにはその子の前に「ハロア」という名のタロイモが生まれていました。ハロアは、両親の家の片隅で育ったそうです。
この伝説から、ハワイアンはタロイモを兄や姉のような存在、彼らの文化の大切な一部と考えています。
オハナは家族を意味し、家族とは誰も取り残されたり忘れられたりしないということ
オハナとは、ネイティブハワイアンが共有する家族の絆を指します。世の中には血のつながりがあるものだけを家族とみなす人もいるかもしれませんが、ハワイ諸島に住んでいた古代ハワイアンと現代に生きる彼らの子孫たちにとっての家族は、アメリカ文化における一般的な家族より広義な意味をもっています。
大家族とオハナ
オハナでは、家族の輪が社会学者が核家族と呼ぶところの関係性(母親、父親、そしてその子供たち)を超えて広がっています。実際、この言葉は世代を超えた大家族を網羅し、友人や隣人のような生物学的な繋がりのない人々を含むことさえあります。
ハワイに住む多くの家族が、息子や娘の世話をすることは喜びの源であると考えています。
そのため家族のメンバーの多くが、子育てに関わります。子供や若者が、互いの繋がりを示すために、年上のいとこを「アンクル(おじさん)」や「アンティ(おばさん)」と呼ぶこともあります。
ハワイアンの家庭では、しばしば祖父母が子供の世話をします。アンクルやアンティも、姪や甥を育てるのを手伝います。生物学的な家族の一員であろうと、単なる友人であろうと、誰もが誰かのオハナなのです。
ネイティブハワイアンは、日常生活の中で家族を自分と切り離された組織として扱っていません。代わりに、兄弟だろうと同僚だろうと、家族、仕事、レクリエーションなどを通じて、みんな誰かのオハナとして相互に繋がっていると考えるのです。
ハワイにおけるオハナの種類
ハワイでは、オハナは人生のさまざまな部分に浸透しています。ハワイを訪れている間に、いくつものオハナを発見するかもしれません。それぞれのオハナの関係性には、恩恵と義務が付きものです。一般的にこの文化は、オハナ内の全員が責任を持って誠実に行動し、互いを支え合うことを前提としています。
たとえば、一人の人が複数のオハナに所属している可能性があります。
・生物学的オハナ
・仕事関係のオハナ
・レクリエーション活動で繋がるグループのオハナ
・教会のオハナ
ほかにもたくさんのオハナがあります。
これらの各グループは、人生のさまざまな場面で、異なる種類のサポートを提供してくれます。異なるソーシャルグループが協力し合って、メンバー全員がハワイのコミュニティで繁栄するために必要なリソースを確実に得られるよう働くこともあります。オハナは、人は一生を通してコミュニティのすべてのメンバーと繋がっていることを教えてくれます。
オハナの歴史
オハナの多くの局面はいまも昔も変わりませんが、ネイティブ文化は多くの点でこのプロセスを時代にそって適応させてきました。たとえば、昔のハワイアンは、最初に生まれた子供を家族の誰かに養子に出して、育ててもらうことがありました。
ハワイ王国最後の君主であるリリウオカラニ女王も、有力な首長であった養父母のもとに養女に出されました。彼女は個人的な文章で、養子縁組のことに触れています。家族間で子供を養子にする習慣は変わりましたが、これもハワイアンにとってのオハナの重要性を物語っていると思います。
オハナによる精神的な支援
オハナの信条は、人々を結びつけ、家族が互いの肉体的・精神的な支援に尽力することです。オハナメンバーの精神的なニーズに気を配りサポートするというのは、深刻な問題について話し合ったり、アドバイスを与えたり、人生の困難な時期を迎えている相手が精神的サポートを受けられているかを気づかうことを意味しています。
より広い意味でオハナを実践する方法
オハナ(または互いに相手を気づかうこと)の重要性を理解していることを示すために、私たちが簡単に実践できることがたくさんあります。タロイモの物語は、ネイティブハワイアンが自然界にも、とても親密な家族性を持っていることを示しています。ですから、オハナが環境概念としても広まっていることは、驚くことではありません。
私たちの一人一人が、地球と世界の家族に対して、リスペクトすることができます。
例えば:
・環境汚染を防ぐ
・必要な分だけの魚を獲る
・動物と人々の共通点を理解する
・相手の安全を保つために道路の規則に従う
これらの行動を遵守することで、一人一人がオハナを尊重することができます。
オハナ、アロハ、マハロ、およびその他のハワイ語
ハワイを訪れると、アロハという言葉がよく聞こえます。この言葉は「こんにちは」や「さようなら」を意味する言葉として知られていますが、オハナと同様にさらに深い意味を持っています。アロハには、あなたのエネルギーや経験を家族のメンバーを含む周りの人々と共有するという意味が込められています。マハロはハワイ語で「ありがとう」を意味します。 ハオレはハワイ先住民ではない人々を指す言葉です。
ハワイには多くの文化が集まっているため、ネイティブハワイアンやハワイアンピジンと呼ばれるローカル独特のスラングを耳にすることがあると思います。これはクレオール言語といって、さまざまな言語を話す人々が集まって意思疎通を図るうちに生まれる共通言語です。
オハナについて学び続ける
ネイティブハワイアンの文化を研究することで、オハナについてより深く学ぶことができます。自分の文化とは異なる文化について学べば学ぶほど、人生や世界に対する理解が深まるでしょう。